その生理不順(不妊症)って甲状腺のせいかもしれない? 橋本病・バセドウ病などの甲状腺機能異常と生理について|武蔵新城駅の内科・糖尿病内科・内分泌内科|おばな内科クリニック

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医療コラム

その生理不順(不妊症)って甲状腺のせいかもしれない? 橋本病・バセドウ病などの甲状腺機能異常と生理について|武蔵新城駅の内科・糖尿病内科・内分泌内科|おばな内科クリニック

その生理不順(不妊症)って甲状腺のせいかもしれない? 橋本病・バセドウ病などの甲状腺機能異常と生理について

 

★甲状腺と生理不順の関係

生理不順に悩んでいる方は多く、その原因はさまざまですが、実は甲状腺機能の異常が影響している場合があります。甲状腺ホルモンは、女性ホルモンの分泌や月経周期に深く関与しており、甲状腺機能が低下しても亢進しても、生理不順が引き起こされることがあります。

■ 甲状腺と月経周期の関係 甲状腺ホルモンは体の代謝をコントロールする重要なホルモンです。

これが不足すると、脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(LH・FSH)のバランスが崩れ、卵巣の働きにも影響を及ぼします。その結果、生理不順や無月経、排卵障害が起こることがあり、それが不妊症につながる可能性もあります。

LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)は、卵巣を刺激し、排卵やエストロゲン・プロゲステロンの分泌を調整する重要なホルモンです。甲状腺機能が低下するとLHとFSHの分泌も乱れ、正常な月経周期が維持できなくなることがあります。

★甲状腺機能異常と生理不順

甲状腺機能低下症(橋本病など)

一部解明できていない点もありますが、甲状腺機能が低下すると、TRH(TSH放出ホルモン)というホルモンが上昇し、プロラクチン(乳汁分泌を促すホルモン)が過剰に分泌されることが知られています。プロラクチンが上昇するとLHとFSHの分泌が抑制され、排卵がスムーズに行われなくなります。その結果、全身の代謝が低下し、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌も抑制されるため、生理の間隔が長くなる「希発月経」や、無月経の原因になります。また、生理の出血量が多くなる「月経過多」を起こすこともあります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

甲状腺機能が過剰に働くと、LHとFSHの分泌リズムが乱れ、ホルモンバランスの崩れを引き起こします。その結果、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが崩れ、生理の量が極端に減る「過少月経」が起こることや、甲状腺ホルモンの影響で生理の量が増える「過多月経」が起こることもあります。また、生理の間隔が長くなる「希発月経」も起こることがあります。

■ 甲状腺異常を疑うべき症状 以下のような症状がある場合、生理不順だけでなく、甲状腺の異常を疑ってみることが大切です。

  • 疲れやすい・倦怠感がある
  • 急な体重増加または減少
  • 手足の冷え、むくみがひどい
  • 動悸や息切れがしやすい
  • 髪の毛が抜けやすい
  • 気分が落ち込みやすい、またはイライラする

これらの症状がある場合は、一度甲状腺の検査を受けてみることをおすすめします。

■ 当院での検査・治療 当院では、生理不順の原因が甲状腺にあるかどうかを詳しく調べることができます。

血液検査

TSH(甲状腺刺激ホルモン)、FT3・FT4(甲状腺ホルモン)を測定し、甲状腺機能が正常かどうかを判断します。また、必要に応じて抗甲状腺抗体(TPO抗体、TSHレセプター抗体)を調べることもあります。

甲状腺超音波検査

甲状腺の大きさや腫瘍の有無をチェックするために、超音波検査を行います。特に橋本病やバセドウ病が疑われる場合には有用です。

治療方針

甲状腺機能低下症の場合は、甲状腺ホルモン補充療法を行い、ホルモンバランスを整えます。甲状腺機能亢進症の場合は、抗甲状腺薬を検討します。これらの治療を適切に行うことで、月経周期の正常化が期待できます。

★まとめ

生理不順の原因は多岐にわたりますが、その中でも甲状腺の異常は見逃されがちです。慢性的な生理不順や不妊に悩んでいる方は、甲状腺の異常が隠れている可能性があります。

「ただの生理不順」と思わずに、ぜひ一度、当院で甲状腺の検査を受けてみてください。適切な治療を行うことで、生理周期が整い、体調の改善が期待できます。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください!