睡眠時無呼吸症候群の検査結果について ~RDI・ODIとは?~
- 2025年6月11日
- 生活習慣病
「朝起きてもスッキリしない」「日中に強い眠気がある」「いびきを指摘された」——
そんな症状がある方は、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の可能性があります。
今回は、当院でも行っている検査や治療の流れについて、特に RDI・ODIの指標 を中心に解説します。
💤 睡眠中に何が起きているの?
睡眠時無呼吸症候群では、眠っている間に 呼吸が止まる(無呼吸)、または 浅くなる(低呼吸) ことで、以下のような影響が出ます。
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大きないびきが途中で止まる
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朝起きたときに頭痛・だるさがある
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昼間の強い眠気、集中力の低下
⚠ 放っておくと危険です!
無呼吸や低呼吸を繰り返すことで体に大きな負担がかかります。
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高血圧・心疾患・糖尿病・脳卒中 のリスク増加
→ 低酸素状態が交感神経を刺激し、血圧や血糖を上昇させます。
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居眠り運転などの事故リスク
→ 睡眠が断片化し、深い眠りがとれなくなることで、日中の覚醒レベルが低下します。
📊 検査指標「RDI」と「ODI」って何?
指標名 | 意味 | 正常範囲 | 内容 |
---|---|---|---|
RDI(呼吸障害指数) | 呼吸の乱れの頻度 | 5未満 | 無呼吸・低呼吸・覚醒反応を含む |
ODI(酸素飽和度低下指数) | 酸素が下がった回数 | 5未満 | 酸素飽和度が3〜4%以上低下した回数(1時間あたり) |
▶ どちらも「1時間あたりの回数」を示し、睡眠の質を数値化する重要な指標です。
🧭 重症度の目安と治療の方向性
重症度 | RDI/ODI | 臨床的な対応 |
---|---|---|
正常 | <5 | 治療不要 |
軽症 | 5〜14 | 経過観察、生活習慣の見直し |
中等症 | 15〜29 | マウスピースやCPAPを検討 |
重症 | 30以上 | 治療が強く推奨されます |
🧪 PSG(ポリソムノグラフィ)検査について
以下の条件に該当する場合は、精密検査である「PSG(終夜睡眠ポリソムノグラフィ)」をおすすめしています。
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RDIまたはODIが20以上
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日中の強い眠気や業務上の支障がある
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保険適応でCPAP導入を検討する場合
PSGでは、脳波・心電図・筋電図・眼球運動などを測定し、「AHI(無呼吸低呼吸指数)」を用いた総合評価が可能です。
💡 治療方法の選択肢
軽症~中等症
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生活指導(減量・禁酒・仰向け寝の回避)
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マウスピース(口腔内装置)
中等症~重症
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CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)
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耳鼻科的手術(鼻閉などが原因の場合)
🏥 CPAP治療と保険適応について
✅ 原則として保険適応となる条件:
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AHIまたはRDIが40以上
✅ 条件付きで保険適応となる場合(医師の判断):
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AHIが20〜39の方で以下のような状況がある場合
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日中の強い眠気(ESSスコア高値)
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車の運転や機械操作など職業上のリスクが高い
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