体に良い油とは?コレステロールを下げる油はある?
- 公開日:2025年9月28日
- 更新日:2025年9月28日
- 食事・栄養
健康志向の高まりにより、えごま油やアマニ油、米油などが注目されています。では、実際にこれらの油は、どのような効果を持ち、体にどう影響するのでしょうか?
今回は脂肪酸の種類に着目しながら解説します。
●脂質(油)について
脂質=油は、炭水化物、たんぱく質、脂質の三大栄養素の一つであり、1gあたり9kcalと高カロリーです(炭水化物1g=4kcal、たんぱく質1g=4kcal)。
脂質はエネルギー源となるだけでなく、細胞膜やホルモンの材料になり、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助ける重要な役割を担っています。
●脂質の分類
脂質は、構成成分である脂肪酸の種類によって、以下に分けることができます。
●必須脂肪酸とは?
必須脂肪酸とは、体内で合成できないため食事から摂取する必要がある脂肪酸のことを指します。代表的なものは、オメガ3系のα-リノレン酸とオメガ6系のリノール酸です。
●飽和脂肪酸とは?
常温で白く固まりやすい油です。体内で合成できるため必須脂肪酸には含まれません。
飽和脂肪酸を摂りすぎるとLDLコレステロールの上昇に関与し、心筋梗塞など循環器疾患のリスクが高まるとされています。
摂取の目安は総エネルギーの約7%までとされており、特に肉類や洋菓子類から過剰に摂取しやすいため注意が必要です。
LDLコレステロールが高めの方は、この飽和脂肪酸を抑えるよう意識していきましょう。
●不飽和脂肪酸とは?
常温でサラサラした液状の油です。種類によって、目安量が決まっているものもあります。
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オメガ3系
α-リノレン酸、EPA、DHAが含まれます。α-リノレン酸からEPAやDHAは体内でわずかに合成されますが、その効率は低いため「ほぼ合成できない」と考え、食事から摂取する必要があります。
不足すると皮膚炎などのリスクとなり、特にEPA・DHAには中性脂肪を下げたり冠動脈疾患を予防したりする効果があることが多くの研究で示されています。
具体的には、EPA・DHAはサバ、イワシ、サンマなどの青魚に多く含まれ、α-リノレン酸はアマニ油、えごま油、チアシード、くるみなどに豊富です。
オメガ3 目安量(g/日)
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オメガ6系
代表的な必須脂肪酸はリノール酸です。大豆油、ごま油、卵など身近な食品に多く含まれており、日本人の食生活では不足することはあまりありません。
オメガ6 目安量(g/日)
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オメガ9
代表はオレイン酸で、オリーブオイル、キャノーラ油(なたね油)、アーモンド、ヘーゼルナッツ、アボカドなどに多く含まれます。
体内で合成できるため必須脂肪酸ではありませんが、冠動脈疾患リスクの低減効果が期待されており、適度な摂取が望ましいとされています。
●不飽和脂肪酸の摂り方
必須脂肪酸を含む不飽和脂肪酸は、様々な健康効果が期待されているため、意識的に摂取することがおすすめです。現代の食生活は欧米化の影響で肉類が増え、飽和脂肪酸に偏りがちです。不飽和脂肪酸を十分に摂取するために、多く含まれるものを日々の食事で取り入れていきましょう。
青魚などからオメガ3を取り入れるのが理想ですが、魚が苦手な方はアマニ油やえごま油をサラダなどに利用するのも良い方法です。
主な魚や肉の脂肪酸量
●調理油の選び方
あまに油、えごま油を料理で使用できると不飽和脂肪酸が摂取できますが、加熱すると栄養成分が失われるため炒め油などには不向きです。それらの油は、サラダや和え物にかけると効果的です。
日常で使用する油は、オリーブオイル、米油、サラダ油であれば、不飽和脂肪酸の含有量は、大きな差はないため、どれを選んでも良いでしょう。特に米油はビタミンEを多く含むため、抗酸化作用を期待する方にはおすすめです。
●注意点
脂質の脂肪酸=質を考慮して、摂取することは大切です。
しかし、摂取量が多すぎるとエネルギー過剰となり、体重増加や生活習慣病リスクにつながります。
どの油を選んでも、冒頭で記載したようにエネルギーは1gあたり9kcalです。
適量を守り、適量の範囲内で油の種類に気を付けていきましょう。
ご自身の適量が分からない場合や不安がある場合は、当院の医師や栄養士にお気軽にご相談ください。
参考文献:文部科学省:「日本食品標準成分表(八訂)」
厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2025年版)