麻疹(はしか)とは?麻疹のワクチンは受けるべき?ウイルス抗体検査って?
- 2024年3月25日
- ワクチン
・麻疹(はしか)とは?
麻疹(はしか)は、麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症のことです。
麻疹ウイルスの感染経路は、空気感染、飛沫感染、接触感染で、ヒトからヒトへ感染が伝播し、その感染力は非常に強いと言われています。免疫を持っていない人が感染すると、ほぼ100%発症し、一度感染して発症すると一生免疫が持続すると言われています。
症状としては、感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。2~3日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。 肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者1,000人に1人の割合で脳炎が発症すると言われています。死亡する割合も、先進国でも1,000人に1人と言われています。
有効な治療方法はなく、基本的には対処療法が中心になります。
・麻疹ってどうやって予防するの?
前述の通り感染力が強く、マスクなどでは予防策は十分とは言えず、麻疹の予防接種が最も有効な予防法です。麻疹含有ワクチン(主に接種されているのは、麻疹風しん混合ワクチン)を接種することによって、95%程度の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。
・麻疹のワクチンって受けた方がいいの?受けた方がよい人って?
基本的に、今まで麻疹にかかったことが確実である(検査で麻疹の感染が確認された場合)場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。
また、ワクチンを2回接種すること99%以上の方に免疫をつけることができます。
2000年4月2日以降に生まれた方は、定期接種として2回の麻疹含有ワクチンを受ける機会があり問題ないと考えられます。
このため、
・麻疹に感染したことがない方
・2000年4月1日以前に生まれた方
予防接種を検討したほうがよいと言われています。
当院ではワクチンを取り扱っております。上記に該当する方はご相談ください。
*現在、麻疹ワクチンに対する問い合わせが多く、ワクチンが不足しております。対応できないケースもございますので、お電話にてお問合せください。(2024年3月25日時点)
また、妊娠中に麻疹にかかると流産や早産を起こす可能性があります。妊娠前であれば未接種・未罹患の場合、ワクチン接種を受けることを積極的に検討すべきですが、既に妊娠しているのであればワクチン接種を受けることが出来ません。主に使用されているMRワクチンは、生ワクチンという種類のワクチンであり、妊娠している女性は接種を受けることができません。また、妊娠されていない場合であっても、接種後2カ月程度の避妊が必要です。これは、おなかの中の赤ちゃんへの影響を出来るだけ避けるためです。ご注意ください。
・麻疹の抗体価検査って?
前述の通り、今まで麻疹にかかったことが確実である場合は、免疫を持っていると考えられることから、予防接種を受ける必要はありません。もし、麻疹にかかったかどうかわからない方、自分が2回ワクチンを受けたのかどうかわからない場合は、一度抗体価検査を受けてみてはいかがでしょうか?
採血にて自分の抗体価をチェックし、抗体価が十分であればワクチン接種をする必要はありません。
医療従事者以外の方はワクチン2回接種、またはEIA法(IgG)で 4.0以上であれば麻疹の発症を予防できる免疫を持っています。
以下の抗体価は医療従事者向けの基準になります。
|
2回の予防接種が必要 (-) |
1回の予防接種が必要 (±)~(+) |
今すぐの予防接種は不要 (+) |
EIA法(IgG) |
2.0未満 |
2.0~15.9 |
16.0以上 |
★抗体検査をお勧めしたい方
・麻疹に感染したことがない方
・2000年4月1日以前に生まれた方
・ワクチン接種の必要性に悩んでいる方
・妊娠を考えている方
引用:
- 麻疹について(厚生労働省)
- 国立感染症研究所
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html
- 庵原俊昭: 小児感染免疫 23, 89-95, 2011
- 一般社団法人 日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン第 3 版