糖尿病の食事療法とは?食べちゃダメなものはあるのか?
- 2024年8月19日
- 食事・栄養
糖尿病の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つの方法があります。
今回は糖尿病治療の基本である「食事療法」についてご紹介します。
食事療法をなぜやらなければいけないの?メリットは?
- 血糖コントロール:食事療法により、血糖値を正常範囲内に保つことで、血糖値の急激な上昇や低下を防ぎ、合併症のリスクを減らします。
- 適切な体重管理:適切な体重を維持し、肥満を解消することで、インスリンという血糖を下げるホルモンを効きやすくし、血糖コントロールを容易にします。
- 合併症の予防:食事療法は、糖尿病の合併症(特に、腎疾患)を予防または進行を遅らせるのに役立ちます。
- 脂質および血圧管理:糖尿病の患者さんは脂質異常症や高血圧を合併することが多いです。このため、適正な食事は、コレステロールや血圧の管理にも役立ちます。
- 栄養のバランス確保:適正な食事は、必要な栄養素をバランスよく摂取でき、全体的な健康をサポートします。免疫機能の維持や、体の基本的な機能を支えるために重要です。
つまり、糖尿病が改善できるだけでなく、高血圧や脂質異常症、肥満の解消、また栄養面の改善により、健康増進につながります。
食事療法のポイント
①適正なエネルギー量を守りましょう。
どのくらいのエネルギー量が自分に合っているのか、知っていますか?
適正なエネルギー量を算出するためには、まずは適正体重を求め、次にエネルギー量を計算します。
以下の計算方法がひとつの目安になりますが、当院では、個別に、体格や年齢、生活スタイル、病状などを考慮した、適正体重、エネルギー量を設定しています。
・適正体重の求め方
身長(m)×身長(m)×BMI22
*個人差が大きいため、個別で算出することがあります
・1日の適正なエネルギー量(kcal)の求め方
適正体重(kg)×エネルギー係数(25~35kcal)
エネルギー係数(25~35kcal)の選び方
25~30 | 30~35 | 35~ |
---|---|---|
軽い労作 (大部分が座位の静的活動) |
普通の労作 (座位中心だが通勤、家事、軽い運動を含む) |
重い労作 (力仕事、活発な運動習慣がある) |
参考:糖尿病標準診療マニュアル – 一般社団法人 日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会 (human-data.or.jp)
②血糖値が上がりやすい食べ方をしていませんか?チェックしてみましょう。
Check!こんな食べ方していませんか?
- 早食いである
- 食事の時間がばらばらである
- 朝食は食べない
- 甘いものが大好き
- 夕食をたっぷり食べる
- 甘い飲料をよく飲む
- よく間食をする
- 野菜はあまり食べない
- 主食を重ねて食べてしまう(例:そば+かつ丼)
- あぶらっこいものが好き
③食べ方を工夫しましょう。
- ゆっくりよく噛んで食べる。1食最低でも15分以上かけて食べましょう。
- 食べる順番によって、血糖値の上がり方が異なります。野菜ファーストで食べましょう。
④3食、主食、主菜、野菜をそろえた食事をしましょう。
- できるだけ毎日同じ時間に、3食規則正しく食べましょう。
- 麺類+丼ぶりなど、1食の中で主食を重ねないようにしましょう。
- からあげ、とんかつ、天ぷらなど、油を多く使った料理は週1回までにしましょう。 ゆでる、蒸す、などの料理を積極的に取り入れましょう。
⑤甘い飲料、菓子類は控えめにしましょう。
- 夜遅くに食べずに、日中に食べましょう。
- 1回80kcal以内を目安に、小袋1個まで、アイス1個まで、と量を決めましょう。
- 清涼飲料水、加糖コーヒー、果物ジュースはできるだけ控えましょう。
*糖尿病で食べちゃダメなものがありますか?という質問をよくいただきますが、基本的には糖尿病で食べてはいけないものはありません!!
食べる量、食べる順番を考えて、食べ過ぎなければ食べてはいけないものはありません。
もし、甘いお菓子などを食べたい場合は、当院の栄養士へ相談ください。個別にアドバイスさせていただきます。
当院では、管理栄養士による栄養指導を行っております。
希望のある方は、いつでもご相談ください。