良い睡眠が肥満を予防する!? 良質な睡眠のためにできる食事の工夫とは?
- 2025年7月17日
- 食事・栄養
睡眠と肥満には深い関係があり、日頃の食生活を見直すことで、より良い睡眠を目指すことができます。ここでは、睡眠と体重管理の関係や、質の良い睡眠のために意識したい食事のポイントをご紹介します。
●睡眠不足は太りやすくなる?
睡眠不足が続くと、体重増加のリスクが高まると言われています。その理由のひとつが、ホルモンバランスの乱れです。
睡眠時間が短かったり、質が悪いと、食欲を高めるホルモン「グレリン」が増え、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減少しやすくなります。この結果、食欲のコントロールが難しくなり、過食につながる可能性があります。
また、起きている時間が長いと、「なんとなく口にしてしまう」ことも増え、無意識のうちに摂取カロリーが多くなる傾向があります。
反対に、睡眠過多の場合も、ホルモンバランスが崩れる可能性があります。長時間の睡眠により食事の時間が不規則になったり、活動量が減ったりすることも、肥満の一因となると考えられています。
このように、体重管理のためには「睡眠の質と量」の両方が大切です。
●適切な睡眠時間とは?
目安として、1日6~8時間程度の睡眠が適切とされています。特に7時間前後の睡眠をとっている人は、肥満や生活習慣病のリスクが低いという報告もあります。
ただし、適切な睡眠時間には個人差があります。朝起きたときに「すっきり感」や「十分な休養感」があるかどうかをひとつの目安にするとよいでしょう。
なお、高齢者は8時間以上の長時間睡眠になりやすく、活動量の低下や筋力低下につながる可能性があるため注意が必要です。
また、休日に「寝だめ」をする方も多いかもしれませんが、平日と休日で生活リズムが大きくずれると、体内時計が乱れ、生活習慣病のリスクが高まることがあります。毎日同じ時間に寝起きする習慣を心がけましょう。
●質の良い睡眠のためにできる食事の工夫
① 朝食をしっかりとる
「良い睡眠は朝から始まる」と言われるように、朝食は重要です。
特に、トリプトファンというアミノ酸を含む食品を取り入れるのがおすすめです。
トリプトファンは、睡眠に関係するホルモン「メラトニン」の材料になります。体内でトリプトファンがメラトニンに変換されるには14~16時間ほどかかるため、朝の摂取が効果的です。
また、この変換にはビタミンB6も必要なため、併せて摂るとより効果的です。
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トリプトファンが多い食品:バナナ、乳製品、大豆製品 など
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ビタミンB6が多い食品:まぐろなどの赤身魚、肉、卵、玄米、バナナ など
② 夕食は就寝の2~3時間前までに
寝る直前の食事は、消化活動が活発になってしまい、睡眠の質を低下させる可能性があります。
仕事などで難しい場合は、脂っこい料理や刺激物を避け、消化の良い食事を心がけましょう。
③ 夕食以降はカフェインを控える
カフェインには覚醒作用があり、摂取後30分~2時間で血中濃度が最大となり、その後2~8時間かけて半減します。
そのため、夕食以降はコーヒーや紅茶、エナジードリンクなどの摂取は避けるのが望ましいです。どうしても飲みたいときは、カフェインレスコーヒーやハーブティーを選びましょう。
④ 寝酒はNG
アルコールは一時的に寝つきを良くしますが、体内で分解される過程で覚醒作用のあるアセトアルデヒドが増加し、眠りが浅くなりやすくなります。
さらに利尿作用もあるため、夜中に目が覚めやすくなります。寝るための飲酒は避け、飲酒量自体も見直すようにしましょう。
●食事以外でもできる快眠習慣
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朝起きたら日光を浴びる
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湯船につかって体温を一度上げる
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寝る前はスマートフォンの画面(ブルーライト)を控える
なども、良い睡眠につながります。
●睡眠に不安がある方はご相談ください
慢性的な睡眠不足の背後には、睡眠時無呼吸症候群や喫煙、ストレスなどの原因が隠れていることもあります。
「疲れがとれない」「日中の眠気が強い」「よく眠れていない気がする」などの症状がある方は、生活を見直すとともに、ぜひ一度当院にご相談ください。